Linux-2.2 用デバイスドライバの Linux-2.4 への移植

既にお持ちの Linux-2.2 用のデバイスドライバを、お客様がご自分で Linux-2.4 用に移植するための要点をメモしておきます。

1. インクルードファイル

インクルードファイルとして、下記を追加します。

  #include <linux/init.h>
  #include <linux/devfs_fs_kernel.h>

2. ファイル操作構造体

ファイル操作構造体を下記のように書き換えます。

 static struct file_operations xx_fops = {
   NULL,               /* lseek */
   xx_read,            /* read */
   xx_write,           /* write */
   NULL,               /* readdir */
   NULL,               /* select */
   xx_ioctl,           /* ioctl */
   NULL,               /* mmap */
   xx_open,            /* open */
   NULL,               /* flush */
   xx_close,           /* close */
   NULL,               /* fsync */
   NULL,               /* faync */
   NULL,               /* check_media_change */
   NULL                 /* revalidate */
 };

から

 static struct file_operations gb_fops = {
   owner:              THIS_MODULE,
   read:               xx_read,
   write:              xx_write,
   ioctl:              xx_ioctl,
   open:               xx_open,
   release:            xx_close,
 };

Linux の流儀に合わせるため、close を release に書き換えるほうが良いかもしれません。

3. sleep/wakeup のウェイト・キュー

3.1. ウェイト・キューの変更

  struct wait_queue *sc_wait_q;
  ..
  interruptible_sleep_on(&sc->sc_wait_q);
  ..
  wake_up_interruptible(&sc->sc_wait_q);

といったメカニズムで使われる wait_queue を下記のように変更します。

  wait_queue_head_t sc_wait;
  ..
  interruptible_sleep_on(&sc->sc_wait);
  ..
  wake_up_interruptible(&sc->sc_wait);

3.2. ウェイト・キューの初期化

デバイスドライバの初期化ルーチン xx_init() で、下記のようにウェイトキューを初期化します。

  init_waitqueue_head(&sc->sc_wait);

とりあえずは、これで動作しますが、キャラクタ・デバイスの登録の仕方が変わりつつありますので、ついでに下記のように変更するほうが良いでしょう。

4. キャラクタ・デバイスの登録

xx_init() で行っていたキャラクタ・デバイスの登録

  if (register_chrdev(XX_MAJOR, "xx", &xx_fops)) {
	..
  }

を削除して、新たに追加する関数 init_xx() で次のように登録します。

  int __init init_xx(void)
  {
    if (devfs_register_chrdev(XX_MAJOR, "xx", &xx_fops)) {
          printk("xx: unable to get major %d\n", XX_MAJOR);
          return -EIO;
    }
  }

5. デバイスドライバの初期化

/usr/src/linux/init/main.c で下記のようにデバイスドライバを初期化します。

#ifdef CONFIG_XX
extern void init_xx(void);
#endif
..

#ifdef CONFIG_XX
      init_xx();
#endif

6. Linux PCMCIA Package

2.4 kernel から PCMCIA の kernel driver のサポートが始まりましたが、まだ完全なサポートには長い道のりが必要で、その状況は

  http://pcmcia-cs.sourceforge.net/

の「A discussion of PCMCIA in the 2.4 kernel series」を見てください。

現状では、kernel の「CONFIG_PCMCIA」を y(es) にしないようにして、 PCMCIA のサポートのすべてを今までどおり pcmcia-cs package に任せ、ドライバを上記のように書き換えて使うのが良いと思います。